シェル(Shell)とは、私たちがコンピュータに指示を出すための「窓口」のようなものです。
普段、スマホやパソコンを操作するときは、アプリやマウス、タッチパネルを使って直感的に操作しますが、
シェルではコマンド(命令)**を使ってコンピュータに指示を出します。
シェルとOSの関係
シェルは、コンピュータのOSとのやり取りを簡単にしてくれるツールです。
OS自体は、ハードウェア(CPUやメモリ)とソフトウェア(アプリなど)の橋渡しをするものですが、
OSに直接命令を出すのは非常に難しいため、シェルがその中間役を担っています。
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機械語で直接OSに命令を出すのは難しいですよね?
シェルはコマンドでの命令を機械語に翻訳しOSに伝え、OSから機械語で帰ってきた処理結果を
再度、私たちにわかる言葉で返すといった中間役を担っているわけです。
一言で言うと、シェルはOSへの「通訳」の役割を果たしてくれます。
シェルの具体例
Bash(バッシュ)**というシェルが、LinuxやmacOSでよく使われているシェルの一つです。
Windowsでも使えるようになってきましたが、基本的にはLinux系でよく利用されます。
例えば、あなたが「ファイルをコピーしたい」と思ったとき、
シェルではcpコマンドを使います。
これをシェルに打ち込むと、シェルがその指示をOSに伝え、
OSがファイルをコピーするという動作を実行してくれます。
cp file1.txt file2.txt
上記のコマンドは、file1.txtというファイルをfile2.txtという名前でコピーする命令です。
シェルの種類
シェルにはいくつか種類がありますが、代表的なものを紹介します。
- Bash(バッシュ)
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最も一般的なシェル。LinuxやmacOSで標準的に使われます。
- Zsh(ゼットシェル)
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Bashに似ていますが、カスタマイズ性が高く、開発者に人気があります。
- Csh(シーシェル)
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C言語のスタイルに基づいたシェルです。
- PowerShell
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Windows専用のシェルですが、LinuxやmacOSでも使えるようになってきました。システム管理者がよく利用します。
シェルを使うメリット
シェルを使う最大のメリットは、効率よくコンピュータを操作できることです。
例えば、グラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)を使ってファイルをコピーするよりも、
シェルでコマンドを使ったほうが、同じ作業を短時間で済ませることができます。
また、自動化スクリプトを作成して、繰り返し作業を一度に処理することも可能です。
Linuxではなぜシェルをよく使うのか?GUIではダメ?
普段のパソコン使用時にGUIを利用する理由は、視覚的に直感的で、
ファイルやアプリケーションをクリックやドラッグ&ドロップで操作できるからです。
しかし、Linux管理者などがシェルを好んで使う理由には、いくつかのメリットがあります。
- 1.効率的な操作
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シェルはコマンドを直接入力して操作を行うため、GUIと比べて一度に大量の作業を自動化したり、一連の操作を一度に処理するスクリプトを作成したりできます。特にサーバー管理や大量のファイル操作を行う場合、コマンドラインの方が圧倒的に速く、柔軟に対応できます。
- 2.リソースの節約
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GUIはシステムリソース(メモリやCPU)を多く使用します。サーバー管理者は、リソースを極力効率的に使いたいため、リソースをほとんど消費しないシェルを使うことが多いです。これにより、サーバー自体のパフォーマンスが維持され、他のプロセスやユーザーに余計な負担をかけません。
- 3.リモート操作が簡単
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サーバー管理者は、よくリモートでシステムにアクセスする必要がありますが、シェルはリモート接続で非常に扱いやすいです。SSH(Secure Shell)などのツールを使って、ネットワーク越しにリモートでコマンドを実行し、サーバーの設定や管理ができるため、GUIを使わずに迅速に操作できます。
- 4.細かな操作の実行が可能
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シェルでは、特定のディレクトリだけや、特定のファイルに限定した細かな操作が可能です。また、複雑な条件付き操作や、一括処理、反復処理など、スクリプトを書くことで、非常に高いレベルの制御が可能です。これはGUIで実行するには難しいためシェルが重宝される理由の一つです。
まとめ
普段の私たちの一般的なパソコン利用では、GUIが視覚的でわかりやすいですが、
システム管理やサーバー運用ではシェルが柔軟かつ効率的な手段となります。
Linux管理者は、シェルを使うことでシステムを効率的に管理し、リソースを節約し、
遠隔からでも迅速に操作できるという利点を活かして日々の業務を行っています。