LinuxのLVM(Logical Volume Manager、論理ボリューム管理)は、
ストレージデバイスの柔軟な管理を可能にする強力なツールです。
LVMを使用することで、物理ディスクを論理的にまとめ、ディスク容量を効率的に管理できます。
今回は、物理ボリューム(PV)、ボリュームグループ(VG)、論理ボリューム(LV)を操作する
基本的なコマンドであるpvcreate
、vgcreate
、lvcreate
、および関連するコマンドを解説します。
pvcreate
:物理ボリュームの作成
LVMでの管理の第一歩は、物理ボリューム(PV)の作成です。pvcreate
コマンドは、物理デバイスをLVMで使用するために初期化します。
使い方と例
sudo pvcreate /dev/sdX
ここで、/dev/sdX
は初期化するデバイス(例:/dev/sda1
など)です。
このコマンドを実行すると、そのデバイスがLVMで管理可能な物理ボリュームとして準備されます。
よく使うオプション
--dataalignment
:物理ボリューム内のデータアラインメントを設定します。ストライピングに重要です。
使用例:
sudo pvcreate --dataalignment 128K /dev/sdb1
このコマンドは、/dev/sdb1
を物理ボリュームに初期化し、128KBのデータアラインメントを設定します。
vgcreate
:ボリュームグループの作成
物理ボリュームが準備できたら、次にそれをボリュームグループ(VG)にまとめます。vgcreate
コマンドは、新しいボリュームグループを作成します。
使い方と例
sudo vgcreate vg_name /dev/sdX
vg_name
は作成するボリュームグループの名前で、/dev/sdX
は含めたい物理ボリュームです。
複数の物理ボリュームを指定して1つのボリュームグループにまとめることが可能です。
よく使うオプション
--physicalextentsize
:物理エクステントのサイズを指定します(デフォルトは4MB)。
使用例:
sudo vgcreate my_volume_group /dev/sda1 /dev/sdb1
このコマンドは、/dev/sda1
と/dev/sdb1
を含むボリュームグループmy_volume_group
を作成します。
lvcreate
:論理ボリュームの作成
ボリュームグループが作成されたら、lvcreate
コマンドを使用して論理ボリューム(LV)を作成します。
論理ボリュームは、実際にファイルシステムを作成したりマウントしたりするための領域です。
使い方と例
sudo lvcreate -L 20G -n lv_name vg_name
このコマンドでは、サイズ20GB
の論理ボリュームlv_name
をボリュームグループvg_name
に作成します。
よく使うオプション
-L
:論理ボリュームのサイズを指定します。-n
:論理ボリュームの名前を指定します。
使用例:
sudo lvcreate -L 50G -n my_logical_volume my_volume_group
このコマンドは、ボリュームグループmy_volume_group
に50GBの論理ボリュームmy_logical_volume
を作成します。
lvextend
:論理ボリュームの拡張
論理ボリュームのサイズが不足してきた場合、lvextend
コマンドを使用して簡単に拡張することができます。
これにより、ストレージの増設や再構築を行わずに、動的にディスク領域を追加できます。
使い方と例
sudo lvextend -L +10G /dev/vg_name/lv_name
このコマンドは、論理ボリューム/dev/vg_name/lv_name
のサイズを10GB
追加します。
よく使うオプション
-L
:追加するサイズを指定します。-r
:ファイルシステムも自動的に拡張します。
使用例:
sudo lvextend -L +20G -r /dev/my_volume_group/my_logical_volume
このコマンドは、my_volume_group
のmy_logical_volume
に20GBを追加し、
同時にファイルシステムも拡張します。
lvdisplay
:論理ボリュームの情報表示
lvdisplay
コマンドを使って、既存の論理ボリュームの詳細情報を確認できます。
使い方と例
sudo lvdisplay
このコマンドを実行すると、システム上のすべての論理ボリュームの詳細情報が表示されます。
個別の論理ボリュームを指定することも可能です。
sudo lvdisplay /dev/vg_name/lv_name
これで、特定の論理ボリュームの詳細情報が得られます。
lvremove
:論理ボリュームの削除
不要になった論理ボリュームを削除する際には、lvremove
コマンドを使用します。
使い方と例
sudo lvremove /dev/vg_name/lv_name
このコマンドを実行すると、論理ボリュームが削除され、ディスク領域がボリュームグループに戻されます。
まとめ
LVMは、物理ディスクを効率的に管理し、必要に応じて動的に容量を調整するための重要なツールです。pvcreate
、vgcreate
、lvcreate
、lvextend
などのコマンドを使いこなすことで、
柔軟でスケーラブルなストレージ管理が可能になります。
今回の記事を通じて、LVMを使ったディスク領域管理の基礎を理解し、システムの運用に役立ててください。