シェル変数と環境変数は、Linuxのシェル環境でシステムやプログラムの動作を制御する重要な役割を果たします。
この記事では、両者の違い、設定方法、使い分けを詳しく解説します。
シェル変数とは？
シェル変数は、シェル内部でのみ有効な変数です。
シェルスクリプトやコマンド実行時に一時的に使用され、他のプログラムやシェルには引き継がれません。
ユーザーが作業中に変数を設定し、スクリプト内で情報を保持する際に役立ちます。
シェル変数の設定
シェル変数は、単純な代入で設定できます。
たとえば、以下のように変数を定義し使用します。
my_var="Hello World"
echo $my_varこの例では、my_varに"Hello World"を代入し、echoコマンドでその値を出力します。
シェルを終了すると、この変数は消えます。
特徴
- 定義されたシェル内でのみ使用可能。
- 子プロセスには引き継がれない。
- セッションが終了すると自動的に消去される。
環境変数とは？
環境変数は、システム全体に渡って有効な変数で、シェルやその子プロセス（プログラム）で使用されます。
これにより、プログラムが特定の設定や情報を引き継いで動作します。
たとえば、PATHやHOMEが有名な環境変数です。
環境変数の設定
環境変数は、exportコマンドで設定できます。
export MY_VAR="Hello Environment"この設定はシェル全体に影響し、シェルから起動される他のプログラムでもこの変数が使えます。
環境変数の確認
envコマンドを使って現在の環境変数を確認することができます。
env特徴
- システム全体やプログラムに影響を与える。
- シェルやその子プロセスで利用可能。
- 多くのシステム設定やプログラムが環境変数に依存している。
シェル変数と環境変数の違い
| 項目 | シェル変数 | 環境変数 |
|---|---|---|
| スコープ | シェル内でのみ有効 | シェルとその子プロセスで有効 |
| 設定方法 | 変数名=値 | export 変数名=値 |
| 参照方法 | $変数名 | $変数名 |
| 子プロセスへの影響 | 子プロセスに影響を与えない | 子プロセスで利用可能 |
| 使用例 | スクリプト内での一時的な値の保持 | プログラムの設定情報を引き継ぐために使用 |
環境変数の使い分け
- システム全体の設定
システム設定やプログラムの動作に関係する変数は、環境変数として設定します。たとえば、PATHやHOMEなどはシステムで重要な設定を行います。 - 一時的なスクリプト実行
一時的な値やシェルスクリプト内での動作に必要な変数はシェル変数で十分です。シェル変数は、他のプロセスに影響を与えることなく、特定のシェルセッション内でのみ使用されます。
環境変数の種類
環境変数には、一般的に使用されるものやシステム固有のものがあります。
以下はよく使われる環境変数の例です。
- PATH: コマンドの実行可能ファイルを検索するディレクトリを定義。
- HOME: ユーザーのホームディレクトリのパス。
- SHELL: 使用しているシェルプログラムのパス。
- USER: 現在のユーザー名。
これらの変数はシステムの動作に影響を与える重要な情報を保持しており、適切な管理が必要です。
まとめ
環境変数とシェル変数はLinuxシステムやプログラムの動作を制御するための重要なツールです。
それぞれの違いを理解し、適切に設定することで、作業効率を上げ、プログラムの設定を簡潔に行うことができます。
システム管理やスクリプト作成の際には、これらの変数を使いこなすことが求められます。
